テロワールの異なる7つの優良区画からのぶどうを、それぞれ1樽ずつ、計7つの樽で発酵・熟成させたものをブレンドした、セレックの最上級作品です。
キュヴェ名の「パルティシオン」は「楽譜」の意味で、ラベルに描かれた音符の数も7つです。
(ちなみにト音記号はセレックのSになっています)。
シャルドネが72%で、エペルネ村「レ・フリルー」、ディジー村「モック・ブテイユ」、ヴェルテュス村「ラ・ジュスティス」、マルドゥイユ村「バス・ロンス」、ピエリー村「レ・ポルジョン」の計5区画より。
ピノ・ノワールが14%で、ピエリー村「レ・ガイエール」より。
ピノ・ムニエが14%で、ピエリー村「レ・グット・ドール」より。
平均樹齢は45年。
樽はすべて、ブルゴーニュ製の228リットル樽です。
ドザージュは3〜4g/l。
ちょうど昨年11月24日に、ジャン・マルク・セレックが岡崎まで来てくれました。
この日は贅沢にも、カウンターでお鮨とセレックのシャンパーニュアイテムを堪能。
初っ端からお店の大将が様々な熟成ワサビや醤油の甘辛の度合の説明に真剣に聞き入るジャン・マルク氏。
セレックのシャンパーニュは個性豊か。
父から受け継いだピエリー村のピノ・ムニエ100%で造ったレ・ソリスト・ムニエは個人的にもお気に入り。
一般的にシャルドネやピノ・ノワールよりも格下にみられるピノ・ムニエのみを使用して造ったこのキュヴェは、「ウフ・ノンブロ」と言われる卵型コンクリートタンクと小樽で醸造。
有名なところだとアンリ・ジローなどでも使用され、所謂シャンパーニュ地方では流行りだとか?!卵型コンクリートタンクの形が、中のワインを止まることなく、巡回させ、そのため泡がきめ細かく、味わいはより複雑に、余韻は何倍も長くなるそうですが、ジャン・マルク氏曰く、タンクの中のワインの酸化が早いので、次回からは使用をやめたとの事です。
実際の味わってみると、ピノ・ムニエとは思えない膨らみのあるボリューム感と味わいの複雑さは、ジャン・マルク氏にしか出せない唯一無二の味わいに思います。
さらに、卵型コンクリートだけでなく、別名「プレス機のロールスロイス」ともいわれるコカール社の最新のプレス機の導入など最新の技術と職人気質による手技は常に進化を求める彼にとって今後の各キュヴェのクオリティの大きな影響を与えることでしょう。
各キュヴェを堪能した後、最後にシャンパーニュ地方では特にアペリティフとして広く楽しまれていて、日本では積極的には販売していないラタフィア・ルージュと彼のラタフィア・ブランを使用して造ったコンフィチュール(ジャム)をフォアグラの上に乗せて豪快に頂きました。
(※ラタフィアとは発酵していないブドウのジュースにマール(ぶどうの絞りカスで造るブランデー)を添加して造られる甘口の酒精強化ワインのこと)。
普通に栓をして冷蔵庫で保管すれば、数ヶ月は十分もちます。
最後に、ピエリー村というあまり聞き慣れない村ですが、格付けがどうだの、葡萄がどうだの、ヴィンテージがどうだのなど、どうしてもブランド志向が強くなってしまうシャンパーニュの世界において、外見などどうでもいい。
ただ健康で上質な葡萄さえできれば、ポテンシャルの高い絶品で素晴らしいシャンパーニュができるんだと言う事をまじまじと見せつけられました。
今後もセレックのシャンパーニュを注意深く見守っていきます。
2017.11.25Jean Marc Seleque / セレック独自の醸造法を極め、衝撃的な個性をもってRM(レコルタン・マニピュラン)の存在感を世に示した、アンセルム・セロスやフランシス・エグリら「第一世代」。
柔軟な発想によってテロワール表現の可能性を追求し、繚乱の「RMワールド」を花咲かせた、ダヴィッド・レクラパールら「第二世代」。
そして最近メディアへの登場が増えてきた「第三世代」の造り手たちは、前世代の求道者たちの偉業に真摯に学びながら、その視線は、「飲んでいかに美味しいか」という原点に、じっと注がれているように感じられます。
弊社創業以来のパートナーで、そのクリエイティビティにおいて第二世代を代表するひとりであるシリル・ジャニソンが、「将来、トップクラスのシャンパンの造り手になるから、絶対行ってみた方がいい」と紹介してくれたジャン・マルク・セレックは、第三世代の筆頭格。
実際に彼を訪れ、試飲して感じたのは、(もう、トップクラスになっている・・・)。
1969年、エペルネ市の南、ピエリー村に設立されたこのRMは、ピノ・ムニエを白眉とする同村の他、ピノ・ノワールの聖地アイの衛星村ディジー、コート・デ・ブランのグラン・クリュを時に凌駕するとさえいわれる、傑出したシャルドネの産地ヴェルテュスの各プルミエ・クリュ村を中心に、12.5ヘクタールの畑を所有しています。
1974年に当主となった2代目のリシャール・セレックの下で順調に発展を遂げ、2008年、息子のジャン・マルクが継承したことで、新たなステージを迎えました。
ジャン・マルクは、それまでのリュット・レゾネ栽培からビオロジー栽培への切り替えを行う一方、一部の区画で馬による耕作を開始。
また、父と共に2004年に導入した小樽による発酵・熟成の研究を深めたり、最新式の卵型コンクリート製タンク「ウフ・ノンブロ」(写真下)を導入したりすることで、「泡はよりきめ細かくなり、味わいはより複雑に、余韻は何倍も長くなりました」。
「スイスの腕時計は華麗で優雅ですが、中の機械は、精緻を極めた職人技の集合体です。
官能的で美味しいシャンパンを造るためには、栽培・醸造におけるひとつひとつの仕事すべてを、ミクロン単位でトゥールビヨンを作るように、精密に、正確に行わなければなりません」。
「シャンパンが合うべき料理に、完璧に合うシャンパンを造ることを目指しています」(以上、ジャン・マルク・セレック)。
「セレック」のシャンパンは、まずその泡の質感と、みずみずしいアロマに驚かされます。
口当たりはやわらかく、甘みや酸味、樽熟成させたシャルドネの香味、ミネラルの旨味などが絶妙に溶け合わさって、しっとりと口の中に広がります。
ジャン・マルクが言うように余韻の長さも心に残るもので、絶品と呼べる水準に達していると思います。
(輸入元ヌーヴェルセレクション資料より抜粋)